GREEN DAYS

日本文化、ライフスタイル、その他学んだことを記録するためのブログ。

交趾焼。

東京第四東青年部主催のオンライン講座『交趾焼口座2021』に参加してまいりました。

茶箱のお稽古でいつも交趾焼の振出(ふりだし。金平糖などのお菓子を入れる)を使用していて、いつも先生に「コウチ焼きのコウチは、高知じゃないのよ」と言われ、以前から名前の由来が気になっていました。

途中からの参加だったため、始めの方のお話は伺えませんでしたが。

 

【1.名前の由来】

 「交趾」とは、現在のベトナム辺りの地名。

 16世紀後半~17世紀前半、東南アジアとの間で朱印状貿易が盛んになり、南方から珍しい物が流入するようになり、「交趾物」と呼ばれるようになった。

 その後、色鮮やかな線模様の小容器が「珍しい物」という意味で「交趾香合」と呼ばれるようになったのが名前の由来。

【2.製造方法】

 成形→イッチン描き→本焼→色付→焼成

 *イッチン(一陳)とは、泥を生クリームのように絞り出して、文様を盛り上げて描く技法。色付では、イッチンで描いた縁の中を絵具で塗る

【3.特徴】

 ①イッチン描き、②鮮やかな色使い(絵具で色付)

【4.弱点】

 ①傷がつきやすい、②酸・汚れに弱い

 ※色は熱に弱いため、絵具を使用すると高温で焼くことができない=焼き締められないため、傷がつきやすくなる

【5.鑑賞ポイント】

 ●「すべて筆で塗っている」ということを念頭に置いて鑑賞する。

 ●手作業のため、細かい部分はもちろん手間がかかるが、広い面も乾かないうちにムラのないように塗らなくてはいけないため、何度も焼く手間がかかっている。

【6.使用する際のコツ】

 貫入(ヒビ)に汚れが入り込まないよう、使用前に水によく漬けてコーティングする。

【7.課題】

 ●光の三原色のように基本の色がないため、顔料(絵具)の色の調整を行うのが難しい。

 ●店によって扱っている色などが違い、廃業などで同じ色が手に入らないことがあり、色の原料の確保が難しい。

 

講師いわく、「交趾焼は、繊細なため食器としては扱いずらいが、茶道のおかげで発展することができた」

講師は、中村正史さん。物腰が柔らかく、お話もわかりやすく、とても素敵な方でした。今度個展を開かれるそうなので、ご興味のある方はぜひ足をお運びください。

 

正史先生の作品はあまりネットに掲載されていないようですが、京都高島屋のブログに作品の一部が掲載されているのを見つけたので、参考にご紹介します。特に、ブログの最後に登場する、コロナ退散を祈って制作された「願い水指」は、地球の上に鳳凰が舞っていて、とても大胆かつ素敵な作品です。

 

交趾焼 中村翠嵐 公式ウェブサイト (suiran.jp)

喜寿記念 交趾焼 進化の継承 中村 翠嵐 茶陶展 | アート de ほっこり | 京都タカシマヤBLOG (takashimaya.co.jp)